【建物探訪】沖縄県名護市庁舎が解体の危機に。
設計者はTeam ZOO(象設計集団+アトリエ・モビル)。1981年に完成し、日本建築学会賞を受賞。
「アトリエ・モビル」は、先日「建築の終焉。〜解体前見学会〜」を開催して惜しまれつつ解体された「東京オート上三川店」の設計者です。
この解体危機のニュースを知ったのはSNS経由ですが、何か縁を感じました。
解体の理由は、建物の老朽化や設備の更新のしにくさ等が理由らしいですが、鉄筋コンクリート造の建物がわずか40年でそのような議論になるとは何とも残念です。
名護市庁舎は2015年に家族旅行の時に訪れています。全く興味のなさそうな家族を尻目にかなりの時間滞在していたと思います。
これらはその時の写真です。
白とピンクのコンクリートブロックでストライプの外観を作っています。
中でも外でもない空間が至るところに存在します。
植物がかなり育っていて何か遺跡のような様相です。
「アサギテラス」と呼ばれる場所。屋根にコンクリートの格子はありますが、ガラスは入っていないので雨は入ってくる仕組み。ここも中とも外とも言えない場所。
ちなみに「アサギ」とは「神様が降りてくる場所」らしいです。沖縄の集落にはこのような場所があるらしく、それをアレンジして組み込んだものだそうです。
海側の南面。
柱と梁の交点にシーサーがいます。全部で56体あり、これは名護市の集落55に名護市を足して56体になったそうです。
シーサーは沖縄の異なるシーサー(瓦)職人に作らせたそうです。それなので、一対一体全て違う表情です。
ちなみにこのシーサー達は風化したことを理由に2019年に全て撤去されてしまいました。
なので、これらの写真は貴重品。
独特な植物達。
全ての建築はいずれ無くなる運命です。ただ解体すればもう元には戻りません。歴史的に重要な建築、何か意義のある建築は残して欲しいものです。