上羽田町の家 2023
所在地 :栃木県佐野市上羽田町
用途 :一戸建ての住宅
構造 :木造在来工法
規模 :平屋建て
敷地面積:396.79㎡(119.78坪)
建築面積:175.78㎡(53.06坪)
延べ面積:163.91㎡(49.48坪)
性能 :外皮平均熱貫流率 Ua=0.34W/㎡K
隙間相当面積 C=0.27㎠/㎡
竣工 :2023年9月
施工 :株式会社team-K風間
(栃木県佐野市)
写真 :溝口泰史
境内の中の建築である。
数百年の歴史を持つ寺院の本堂に近接すると言うこと、これがここに新たな建築を建てる最大のテーマであった。
その歴史に敬意を払い、新しい建築はできるだけ主張しないものになるように心がけた。
境内にある他の建物に倣い、屋根は日本瓦、外壁は漆喰塗りとすることは、ごく自然の成り行きであり、後は要望されたものをいかに納めるかを熟考した。
南は参拝者のための駐車場、東は公道と神社、西は参道、北は庫裏になっていて、どこからでも視認できる環境にある。それを踏まえ、どこから見ても軒の高さが一定となる寄棟屋根とし境内や周囲の環境から突出しないように努めた。
建物形状は矩形を基本として、料理好きの施主のために南東角部分を半島状に飛び出させキッチンを配置した。一番良い場所で外の景色を眺めながら料理の腕を振るうことができる。
キッチンからはダイニング、リビング、6帖の和室が続く形となっている。これらは全て引き戸で仕切れるようになっており、来客が多い中でプライバシーを確保する仕組みとなっている。
建物北側にあるアプローチ部分の外壁は柔らかい杉板貼りとし、温かく人を迎え入れる設えとした。
まだまだ真新しい日本瓦と漆喰であるが、何十年と経過し周囲と馴染んだ時がここの境内の完成であると考えている。