敷地のすぐ近くには交通量の多い幹線道路が通り、住宅や事務所、飲食店などが混在している。その一方で周辺には田畑や小川、公園などがあり比較的落ち着いた住環境を形成している。
その落ち着いた住環境に馴染ませるために、建物は街との接点である道路から十分に引きを取って配置し、空き地の状態から建物が建つことにより生じる圧迫感を軽減させた。
建物の外観については、大きな切妻屋根をかけた和風の趣きとしたが、和風独特の重厚な雰囲気になりすぎないように屋根を薄くするなどディテールを熟考し軽やかな印象になるように務めた。
また、道路側の軒の高さを手が届くぐらいまで低くし建物のスケールが人のスケールに近づくようにした。
内部については、住まい手が高齢の単身者ということで、1日の大半を過ごすリビングを屋根勾配なりの大きなボリュームとし、紙障子から入る拡散された柔らかな光で満たした。