田沼町の家 2021
所在地 :栃木県佐野市田沼町
用途 :一戸建ての住宅
構造 :木造在来工法
規模 :地上2階建て
敷地面積:346.87㎡(104.71坪)
建築面積:106.54㎡(32.16坪)
延べ面積:121.44㎡(36.66坪)
性能 :外皮平均熱貫流率 Ua=0.26W/㎡K
隙間相当面積 C=0.1㎠/㎡
竣工 :2021年11月
施工 :有限会社 福田工務店
(栃木県佐野市)
写真 :溝口泰史
この住宅は地元工務店社長の自宅であると同時に今後この工務店の目指すべき方向を示したモデルハウスである。
その方向性は「超」高気密高断熱化であり、この地域にはほとんど見かけない性能である。この性能をまとった住宅を軸にして地元の住宅建築に一石を投じるという工務店社長の熱い想いを具体化したものである。
ただし、性能ばかりに気を取られていると住宅にとって大事なモノが抜け落ちてしまう。設計側としては、そうならないように慎重に計画を進めた。
要望から1階で寝食を完結できる間取りとした上で家事動線をていねいに計画し、2階は子供室2部屋とトイレのみとし必要最低限に留めた。
リビングの南側の窓は床から30cm上げて窓の前をベンチにすることで一番環境が良い場所に人が溜まれる仕掛けを作った。そのベンチから繋がる和室は窓がほとんどなく天井も低い囲まれた空間である。「リビング=明るく活動的な空間」、「和室=ほのかに暗く落ち着いた空間」としメリハリがある空間構成とした。
そして、そこに単純な切妻屋根を載せて真っ白い漆喰の外壁で仕上げた。
内部の仕上げ工事が行われたのが真夏の8月。明らかに内部の方が過ごしやすく感じられた。また、引き渡してから11月に数回訪れているが、家に入った途端にジャケットを脱ぐぐらいの暖かさである。もちろん暖房は稼働していない。改めて断熱気密性能の高さを実感した。
今回の仕事を通じて、これから先の社会を見据えると、これに準じた性能が必須であると改めて感じた。
最後に、この性能を実現できたのは、大工をはじめとする職人の方々が手間暇を惜しまず、ていねいな施工をしていただいたおかげであることを付け加えたい。