敷地は通過交通のない位置指定道路の途中にある。長年畑として利用されていたこの区画は周囲の成熟した街並みにの中にひっそりと残されていた。このような環境の中に新しい建物が建つことで街並みが崩れないように、建物配置、屋根勾配を含めた形態、色彩などを慎重に設計した。 その結果、シンプルな家型であずき色の外壁や長く伸びる黒い杉板塀を用いることで、どこか懐かしい印象を与え成熟した街並みに馴染ませた。
また、この家の特徴として、道路沿いに玄関ポーチを拡張させた外とも言えない、内とも言えない曖昧な空間を作った。ここは街と家との接点であり、外からのバッファーとなり、雨の日の子どもの遊び場となり、周辺とのコミュニケーションスペースとなるなど様々な機能を持たせている 。