岩舟町新里の小さな家 2024
所在地 :栃木県栃木市岩舟町
用途 :一戸建ての住宅
構造 :木造在来工法
規模 :平屋建て
敷地面積:432.68m²(130.62坪)
建築面積:83.69m²(25.26坪)
延べ面積:80.38m²(24.26坪)
性能 :外皮平均熱貫流率 Ua=0.47W/㎡K
隙間相当面積 C=0.27㎠/㎡
竣工 :2024年8月
施工 :有限会社 池田工務店
(栃木県栃木市岩舟町)
写真 :溝口泰史
万葉集にも謳われた三毳山(みかもやま)を正面に望む敷地に建つ親子3人のための平屋の小住宅である。
実家の畑であった土地を開発造成した市街化調整区域にあり四方には遮るものはなく、東側の交通量の多い県道からの騒音、南側に隣接する近隣企業の社員駐車場からの視線を防ぐことが課題であった。
外観は濃いグレーのガルバリウム鋼板小波板で覆われた長方形の躯体に切妻屋根を掛けた原初的なものとし、周りの風景から突出しないような佇まいを目指した。
内部の構成としては、東側から順番に水廻り、家族が集まるリビングを配置して東側道路から一番離れた西側に個室を配置することで騒音に対応した。
床座での生活を要望されたのでリビングは畳敷きとしている。落ち着いた空間にするために天井高さを2mまで落とすことで重心を下げ、さらに天井をサワラ縁甲板で仕上げた。また、南側の大開口部に雪見障子を設置することで、南側駐車場からの視線を避けつつ、紙障子の上部を開けることで三毳山や空の景色だけが見える仕掛けを用意した。
落ち着いた畳リビングの対比として、隣のダイニングとキッチンは勾配天井の大きなボリュームを確保し開放的な空間とした。
また、毎日の家事動線が最短になるように計画し、南側にあるランドリールームは周囲に畑が多く季節風で砂埃が舞う時でも安心して洗濯物が干せる場所としている。
25坪に満たない小住宅であるが、三毳山の四季を感じながら生活できる住まいとなった。